店舗事務所の退去費用・原状回復にガイドラインは利用できない

国土交通省の原状回復のガイドラインは賃貸住宅の退去時における原状回復にかかる契約関係、費用負担等のルールのあり方を明確にして、賃貸住宅契約の 適正化を図ることを目的に、当時の建設省が平成8年~9年度に「賃貸住宅リフォー ムの促進方策」の検討について㈶不動産適正取引推進機構に委託し、その中で、「賃貸住宅リフォームの 促進方策検討調査委員会(ソフト部会)において平成103月に取りまとめ公表されたものです。

 

国土交通省が賃貸住宅の退去時における原状回復について定めたものであり店舗・事務所の原状回復について定めたものではありません

 

ただしマンションの1室のような小規模な事務所や店舗の場合は、住宅用賃貸と変わらないという前提のもと、ガイドラインが適用された判例があります。

 

契約書の重要性

店舗事務所の原状回復については、契約書の原状回復に関する条項が重要です

 

賃貸借契約書に何が記載されており、どう記載されているかになります。

 

例えばオフィス物件で原状回復は借主の義務であるという契約を結んでいるなら、通常使用での損耗・劣化の補修費用も含めて100%借主が負担することになります

 

 

オフィスビルの建物賃貸借契約において「自然損耗・磨耗も原状回復の対象とするという特約も有効である。」とする判例があります(東京高判平成121227日判夕1095176)

 

ガイドラインは民間賃貸住宅において賃借人が通常の使用に伴い生じた損耗についての原状回復義務を負わないとする旧建設省の通達により、当該通達における「条項は、居住者である賃借人の保護を目的として定められたものであることが明らかであって、市場性原理と経済合理性の支配するオフィスビルの賃貸借に妥当するものとは考えられない」なっています。

 

原状回復のガイドラインについて